不妊"医療"には、科学的な根拠にもとづく医学と
ご夫婦のバックグラウンドを踏まえたケアが必要
●遠回りをすることなく、赤ちゃんを抱いてほしい
不妊のスペシャリストをそろえたチーム医療で、高水準の不妊治療を提供しつづけてきた「大阪NewARTクリニック
」が、今年、開院10周年を迎えます。院長の富山達大先生がクリニックを開院した1997年当時の思いを語ってくれました。「大学病院の待合室で、妊婦さんたちに囲まれて身も心も小さくなって診察を待っている不妊症の患者さんを見る
につけ、どうにか力になりたいという思いにかられて、そのころまだ少なかった不妊治療専門クリニックを開くことを決
心しました。開院場所には、大阪・梅田の駅前を選びました。仕事を持つ女性にも無理なく終業後に通ってもらえる病院
にしたかったので、ターミナル駅のそばで、夜まで診療を行うことにしたのです。当時はそれすら珍しいスタンスでした
」
97年には、国内で体外受精によって誕生した赤ちゃんの数は5687人でした。それが04年には1万8168人と急増。
「不妊治療が急速に進化をとげ、生殖医療をとり巻く社会が大きく変化したあらわれでしょう。その生殖医療も、発展期
から安定期に入りました。これからは、夫婦一組一組に合ったテーラーメイドの体外受精をいかにていねいに行えるか、
そんな地道な努力が試される時代だと考えています。また、自然な妊娠へのあこがれはよくわかりますが、怩アれ以上は
遠回りだ揩ニ判断したときには、不妊症が恤a気揩ナあることを自覚していただき、卵子が老化する前に先を急ぐことを
ご提案するのも、不妊治療医の使命だと思っています。時間はとり戻せませんから」
●診療方針は”EBM&ヒューマニティー”
昨年には2名の女性医師、三戸和子副院長、中川由美子医長が着任。生殖指導医である富山院長をはじめとする3人の医師によって、一貫した治療方針での診療が行われています。富山院長が、この10年間貫いてきた基本方針は、”EBM&ヒューマニティー”。「EBMとは、臨床データなどの確かな根拠に裏打ちされた治療のこと。国内のみならずアメリカやヨーロッパの不妊学会にも所属し、研究活動に参加することで、最先端の技術と知識の習得に努めています。もちろん、それだけでは、”医学”としては十分でも、質の高い怦纓テ揩提供しているとはいえません。私たちがみているのは、臓器ではなく、人です。ご夫婦のライフスタイルや、バックグラウンドを理解したうえで、ヒューマニティーあふれるサポートをすることは、EBMと同じくらい大事だと思うのです」
注射や採血、薬の説明などが行われる処置室は、クリニックの”ヒューマニティー”を最も実感できる場所。看護師さんたちのあたたかな笑顔と気配りに、ほろりとしたり、ほっとしたり。不妊看護のプロとして、さまざまな質問にも的確に答えてくれます。また、月2回、不妊症カウンセリングが行われています。臨床心理士の一人である高橋裕子先生に、その内容を伺ってみました。「皆さんが気持ちを整理し、物事や人とのかかわり方を見直すことで、新たな自分らしさを発見するお手伝いをさせていただきます。個人やご夫婦でのカウンセリングのほか、グループカウンセリングも行っています。心にとまどいを感じたら、気軽にカウンセリングルームの扉をノックしてみてくださいね」
※Evidence-Based Medicine(根拠にもとづいた医療)の略